技術書ナビ データレポート

技術書は出版から何か月で紹介され始めるか

新しい技術書の評判を知りたいとき、出版からどれくらい待てば紹介記事が出てくるのか。2021〜2024年に出版された技術書のうち、出版から24か月以内にZenn・Qiita・企業テックブログで紹介された361冊について、最初の紹介記事と3本目の紹介記事が出るまでの月数を数え、分野・翻訳書かどうか・価格・媒体で比べた。

公開日: ・対象:2021年1月1日〜2024年10月8日に出版された本と、2026年10月8日までに公開された記事 ・作成:つみき

要点

  • 出版から24か月以内に紹介された361冊では、最初の紹介記事が出るまでの月数の中央値は7.8か月だった。3か月以内に紹介された本は24%、1年以内は69%である。
  • 紹介が3本以上そろうのは少数で、24か月以内に3本目の紹介記事が出た本は19%(67冊)。そこまでの月数の中央値は11.6か月だった。
  • 分野で速さが違う。設計・コード品質(中央値3.4か月)とクラウド・インフラ運用(中央値4.6か月)の本は、ほかの分野の本より早く紹介される。機械学習・データ分析は最初の紹介の時期は平均的だが、3本目まで届いた本は66冊中4冊しかない。
  • 翻訳書は国内の本より早く紹介される(中央値5.9か月と8.9か月)。3本目まで届いた割合も、翻訳書の28%に対し国内の本は15%だった。
  • 楽天ブックスの書誌で数えると、2025年に出た技術書の新刊616点のうち、2026年10月8日までに紹介記事が出たのは12%だった。紹介された本の多くは、発売から数か月のうちに最初の紹介が出ている。

調べ方の概要

技術書ナビが集めた技術書の紹介(本×記事)から、2021年1月1日〜2024年10月8日に出版された本を選び、出版日から各紹介記事の公開日までの月数を数えた。期間の終わりを最新の記事の24か月前にしたので、どの本も出版から24か月の紹介を最後まで見られる。「まだ紹介されていないだけ」の本が混ざると最近の本ほど速く見えるため、この区切りで揃えた。

版違い(第2版・新装版など)は同じ本としてまとめ、出版日はいちばん古い版の日付にした。新しい版は前の版の読者と評判を引き継いでおり、新しく出た本と同じには比べられないためである。翻訳書の出版日は日本語版の日付である。

技術書ナビのデータには紹介された本しか入っていないので、ここでの割合は「24か月以内に1回以上紹介された本」を分母にしている。出版された本全体のうちどれだけが紹介されるかは、楽天ブックスの新刊書誌と突き合わせた節で別に数えた。基準と除外の詳細は調べ方の詳細にまとめた。

最初の紹介までの月数

最初の紹介記事は、出版から中央値7.8か月で出る。3か月以内は24%だけ

361冊が出版から何か月以内に最初の紹介記事を得たかを、累積の割合で示す(図1)。半数の本は出版から7.8か月以内に紹介されたが、4冊に1冊は13.2か月を過ぎてから最初の紹介が出ている。

図1 出版から◯か月以内に最初の紹介記事が出た本の割合(361冊)
  • 1か月以内 12%(44冊)
  • 3か月以内 24%(88冊)
  • 6か月以内 42%(151冊)
  • 12か月以内 69%(249冊)
  • 24か月以内 100%(361冊)

24か月以内に1回以上紹介された本だけを数えているので、24か月で100%になる。発売前(3か月以内)の紹介は0か月として数えた。

紹介記事そのものは、出版直後に集中しているわけではない。361冊が出版から24か月の間に受けた紹介768件を3か月ごとに数えると(図2)、最初の15か月は3か月あたり102〜122件でほぼ横ばいで、それを過ぎると減っていく。1年目の紹介は全体の58%である。

図2 出版からの月数ごとの紹介記事の数(3か月ごと。濃い部分はその本の最初の紹介)
  • 0〜3か月 122件(最初88件)
  • 3〜6か月 102件(最初63件)
  • 6〜9か月 113件(最初50件)
  • 9〜12か月 108件(最初48件)
  • 12〜15か月 109件(最初45件)
  • 15〜18か月 81件(最初25件)
  • 18〜21か月 78件(最初26件)
  • 21〜24か月 55件(最初16件)

出版から1か月以内の紹介57件のうち、記事名から著者・訳者などの関係者による出版の告知と分かるものは7件だった。記事名から分かる範囲では、出版直後の紹介の大半は関係者以外の書き手によるものである。

新刊の評判を記事で確かめたい読者にとっては、出版から半年たっても紹介が見つからないのは珍しくない、ということになる。半年の時点で最初の紹介が出ていた本は、最終的に24か月以内に紹介された本の42%にとどまる。

3本目の紹介まで

24か月以内に3本目の紹介記事まで届いた本は19%(67冊)

紹介記事が1本だけでは、その本の評判は分からない。3本目の紹介記事が出るまでの月数を「評判がそろい始めるまで」の目安として数えると、24か月以内に3本目まで届いた本は67冊で、残りの294冊は紹介が1〜2本にとどまった。届いた67冊の3本目までの月数の中央値は11.6か月である。

どの本が早く3本目に届いたかは、本ごとの表にまとめた。設計とチーム運営の本が上位に多い。

分野ごとの違い

設計・コード品質とクラウド・インフラ運用の本は早く紹介され、機械学習・データ分析の本は紹介が積み上がりにくい

本に付いたタグで分野を分け、分野ごとに最初の紹介までの月数と、3本目まで届いた割合を出した(最初の紹介の中央値が短い順)。1冊が複数の分野に入ることがある。

分野ごとの、最初の紹介までの月数と3本目まで届いた割合
分野 冊数 最初の紹介
(中央値)
四分位
(か月)
3か月
以内
12か月
以内
3本目
まで届いた
国内の本
だけの中央値
設計・コード品質 343.4か月0.8〜7.541%85%56%(19) 4.2か月
クラウド・インフラ運用 474.6か月0.8〜8.936%83%30%(14) 4.7か月
テスト(参考) 144.8か月2.8〜8.729%93%57%(8) 7.3か月
データベース・SQL(参考) 135.1か月1.5〜12.938%69%8%(1) 9.3か月
アジャイル・チーム・マネジメント 427.0か月2.0〜13.031%71%26%(11) 9.6か月
フロントエンド 237.8か月2.9〜10.826%78%22%(5) 6.3か月
OS・コンピュータの仕組み(参考) 187.8か月3.4〜12.122%72%6%(1) 9.3か月
機械学習・データ分析 668.2か月4.1〜13.418%70%6%(4) 8.0か月
ネットワーク・HTTP 238.3か月2.6〜12.126%74%9%(2) 9.3か月
セキュリティ 258.5か月3.3〜13.024%72%28%(7) 8.5か月
全体 3617.8か月3.0〜13.224%69%19%(67) 8.9か月

冊数が20冊未満の分野は参考値(薄い色)。四分位は、早いほうから4分の1と4分の3にあたる本の月数。「3本目まで届いた」は出版から24か月以内に3本目の紹介記事が出た本の割合(括弧内は冊数)。

設計・コード品質の本は中央値3.4か月、クラウド・インフラ運用の本は4.6か月で最初の紹介が出ており、ほかの分野の本(それぞれ8.5か月・8.4か月)より明らかに早い(p<0.01・p<0.01、マン・ホイットニーの検定)。設計・コード品質の本は34冊中20冊が翻訳書で、後で見るように翻訳書は早く紹介されやすい。それでも国内の本だけで比べると設計・コード品質は4.2か月、クラウド・インフラ運用は4.7か月で、国内の本全体の8.9か月より早い。翻訳書の多さだけでは説明できない。

機械学習・データ分析は66冊と最も多いが、最初の紹介の時期はほかの分野と変わらない(中央値8.2か月)。違いは紹介の積み上がり方で、3本目まで届いた本は4冊(6%)しかない。同じ本を複数の書き手が紹介することが少なく、紹介が多くの本に分かれていると読める。テストは14冊と少ないが、3本目まで届いた本が8冊(57%)と多い。

冊数が20冊以上のほかの分野は、中央値が7.0か月〜8.5か月で、全体との差は偶然の範囲に収まる。

翻訳書と国内の本

翻訳書は国内の本より早く紹介され、3本目まで届く割合も高い

翻訳書と国内の本の、最初の紹介までの月数
種類 冊数 最初の紹介
(中央値)
四分位
(か月)
3か月
以内
12か月
以内
3本目
まで届いた
翻訳書 925.9か月1.9〜10.530%79%28%(26)
国内の本 2698.9か月3.3〜14.222%65%15%(41)

翻訳書92冊の最初の紹介は中央値5.9か月で、国内の本269冊の8.9か月より約3か月早い(p<0.01)。3本目まで届いた割合も28%と15%で差がある(p<0.01)。

理由はこのデータからは確かめられないが、翻訳書の多くは原書が海外で評価されてから翻訳されている。日本語版が出る前から書名と評判が知られているので、発売してすぐに読まれ、紹介される本が多いと考えられる。出版日は日本語版の日付なので、原書の出版から数えれば翻訳書の「紹介までの月数」はもっと長い。

価格帯

2,500円未満の本は最初の紹介が遅く、3本目まで届く本も少ない

価格帯ごとの、最初の紹介までの月数
価格(税込) 冊数 最初の紹介
(中央値)
四分位
(か月)
3か月
以内
12か月
以内
3本目
まで届いた
翻訳書
2,500円未満 899.3か月4.2〜14.619%61%11%(10) 10%
2,500〜3,299円 886.0か月2.2〜11.032%77%24%(21) 15%
3,300〜3,999円 908.4か月2.5〜11.926%76%26%(23) 36%
4,000円以上 306.6か月2.9〜11.627%73%30%(9) 70%

価格は出版社などの書誌から取った、いちばん古い版の税込価格。価格の分からない64冊を除く297冊。

2,500円未満の本は最初の紹介が中央値9.3か月で、それより高い本(6.8か月)より遅い(p<0.01)。3本目まで届いた本も11%と少ない。この価格帯は翻訳書が10%しかないが、国内の本だけで比べても中央値は10.6か月で、国内の本全体(8.9か月)より遅い。

2,500円以上の価格帯どうしでは、はっきりした差はない。安い本が遅い理由は、このデータでは分からない。本の種類(入門書か専門書かなど)は分けていないので、価格そのものではなく、価格と結びついた本の種類の違いが現れている可能性がある。

媒体ごとの違い

最初に紹介する媒体に偏りはない。新しい本の紹介の割合は企業テックブログがやや高い

どの媒体が新刊を最初に取り上げるかを見るため、361冊の最初の紹介がどの媒体だったかと、24か月以内の紹介全体の媒体の内訳を並べた。あわせて、2022年以降の各媒体の紹介のうち、出版から6か月以内・12か月以内の本の紹介が占める割合を出した(こちらは対象の361冊に限らず、出版日の分かるすべての本の紹介)。

媒体ごとの、最初の紹介と新しい本の紹介の割合
媒体 最初の紹介 24か月以内の
紹介全体
2022年以降の
紹介
うち出版
6か月以内
うち出版
12か月以内
Zenn 35%(126冊) 33%(257件) 1,308件 11.6% 19.5%
Qiita 39%(139冊) 39%(303件) 1,420件 12.3% 20.4%
企業テックブログ 27%(96冊) 27%(208件) 737件 15.5% 26.2%

最初の紹介の媒体の内訳は、紹介全体の内訳とほぼ同じだった。ある媒体が新刊を真っ先に取り上げ、ほかの媒体が後を追う、という順番は見られない。

一方、媒体ごとの紹介のうち出版から6か月以内の本の紹介は、企業テックブログで15.5%、Zenn・Qiitaの合計で12.0%と、企業テックブログがやや高い(p=0.01)。著者・関係者による出版の告知は、出版から1か月以内の紹介でも7件と少なく、この差の主な理由とは考えにくい。何が差を生んでいるかは、このデータでは確かめられていない。

早く紹介された本は読まれ続けるか

出版直後に紹介された本も、後から紹介された本も、2年目に紹介が続く割合はほとんど変わらない

早く紹介された本ほど、その後も紹介が続くのか。最初の紹介が出版から3か月以内だった本と、3か月より後〜12か月以内だった本について、出版から12〜24か月の間に紹介があったかを比べた。どちらの本も、この期間を最後まで見られる。

最初の紹介の早さと、出版から12〜24か月の紹介
本 冊数 12〜24か月に
紹介があった本
その期間の
紹介(1冊あたり)
出版から3か月以内に初めて紹介された本 88 38%(33冊) 1.07件
3か月より後、12か月以内に初めて紹介された本 161 33%(53冊) 0.65件

2年目にも紹介があった本は38%と33%で、差は偶然の範囲である(p=0.47)。出版直後に紹介が出たかどうかは、その本が2年目も読まれるかの目安にはなりにくい。1冊あたりの紹介の数は早く紹介された本のほうが多いが、これは一部の本に紹介が集中しているためである(次の節の表の上位の本)。

出版から数年たっても紹介され続ける本は、長く読まれ続ける技術書と、最近定番になった技術書で、年ごとの紹介の割合から見ている。

早く紹介が集まった本・遅れて紹介された本

3本目の紹介まで最も早く届いた本と、1年以上たってから紹介され始めた本

3本目の紹介記事までが短かった本

3本目の紹介記事までの月数が短い本
書名 出版 最初の
紹介
3本目 24か月
以内の紹介
種類
『良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門』 2022/04 0.0か月 0.3か月 51件 国内の本
『ユニコーン企業のひみつ』 2021/04 0.0か月 0.5か月 9件 翻訳書
『ソフトウェア開発現場の「失敗」集めてみた。 42の失敗事例で学ぶチーム開発のうまい進めかた』 2024/06 0.0か月 1.7か月 8件 国内の本
『世界一流エンジニアの思考法』 2023/10 1.2か月 1.7か月 38件 国内の本
『HTML解体新書-仕様から紐解く本格入門』 2022/04 0.0か月 2.1か月 3件 国内の本
『エンジニアのためのマネジメント入門』 2023/03 2.0か月 3.2か月 10件 国内の本
『スタッフエンジニアの道』 2024/08 0.0か月 3.3か月 4件 翻訳書
『エンジニアリングマネージャーのしごと』 2022/08 0.1か月 3.8か月 11件 翻訳書
『チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計』 2021/12 0.6か月 3.8か月 9件 翻訳書
『開発系エンジニアのためのDocker絵とき入門』 2024/01 0.3か月 4.3か月 5件 国内の本
『ソフトウェアアーキテクチャ・ハードパーツ』 2022/10 1.5か月 4.5か月 4件 翻訳書
『アーキテクトの教科書 価値を生むソフトウェアのアーキテクチャ構築』 2024/07 0.8か月 4.8か月 5件 国内の本

書名と出版はいちばん古い版。版を改めた本は、新しい版の紹介も同じ本として数えている。

上位は、設計・アーキテクチャの本と、エンジニアの働き方・チーム運営・マネジメントの本が占める。言語やツールの使い方の本は少ない。12冊のうち5冊が翻訳書である。

出版から12か月以上たってから紹介され始め、3本以上の紹介を得た本

遅れて紹介され始めた本
書名 出版 最初の
紹介
紹介記事
(現在まで)
『Docker&仮想サーバー完全入門 Webクリエイター&エンジニアの作業がはかどる開発環境構築ガイド』 2022/09 17.6か月 4件
『AWSの基本・仕組み・重要用語が全部わかる教科書』 2022/08 14.2か月 4件
『シリコンバレー一流プログラマーが教える Pythonプロフェッショナル大全』 2022/08 23.0か月 3件
『プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」』 2022/02 21.9か月 3件
『情報セキュリティの敗北史』 2022/10 18.0か月 3件
『プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 交渉・タスクマネジメント・計画立案から見積り・契約・要件定義・設計・テスト・保守改善まで』 2022/11 16.6か月 3件
『IT用語図鑑[エンジニア編] 開発・Web制作で知っておきたい頻出キーワード256』 2021/09 12.3か月 3件

遅れて紹介され始めた本は7冊と少なく、紹介の数も3〜4件にとどまる。入門書とプロジェクト管理の本が多い。出版から1年以上紹介がなかった本で、その後5本以上の記事に紹介された本は、このデータには無かった。

2025年の新刊のうち紹介された割合

2025年に出た技術書の新刊616点のうち、紹介記事が出たのは12%

ここまでの数字は、紹介された本の中での比較である。出版された本全体のうちどれだけが紹介されるのかを見るため、2025年と2026年の技術書新刊を比べるで集めた楽天ブックスの書誌のうち、2025年に出て「技術書」の区分に分けた616点(パソコン操作の解説書・資格試験の本・生成AIの使い方の本・雑誌・IT以外の本を除いたもの)を、ISBNで技術書ナビの紹介データと突き合わせた。

2026年10月8日までに紹介記事が1本以上出たのは75点(12%)だった。発売からの月数ごとの割合は図3のとおりで、発売の時期によって見られる期間が違う(年末に出た本は10か月ほど)ため、まだ見られない期間を除いて割合を出す方法(カプラン・マイヤー法)で計算した。

図3 2025年の新刊のうち、発売から◯か月以内に紹介記事が出た割合(616点)
  • 1か月以内 5.5%
  • 3か月以内 7.8%
  • 6か月以内 8.9%
  • 9か月以内 10.7%
  • 12か月以内 11.5%
  • 15か月以内 12.3%
  • 18か月以内 12.6%

棒の長さは25%を全幅とした。発売前(3か月以内)の紹介は0か月として数えた。その月数まで見られる本が30点未満の月は出していない。

紹介された本のうち多くは、発売から数か月のうちに最初の紹介が出ている。3か月以内に紹介された割合は7.8%で、12か月以内の11.5%との差は小さい。発売から3か月のうちに紹介が出なかった新刊は、その後1年以内に紹介される見込みも低い、ということになる。前の節までで見た「最初の紹介の中央値7.8か月」は、紹介された本だけを分母にした値なので、この節の数字と矛盾はしない。

なお、ここでの「紹介」は技術書ナビが集めた記事(年に数百本)に出たかどうかで、技術書を取り上げたすべての記事ではない。割合は、実際に紹介された本の割合より低めに出ている。

発売の四半期ごとの、紹介された新刊の割合
発売 新刊 紹介された
2025年1〜3月 165点 15%(25点)
2025年4〜6月 128点 13%(17点)
2025年7〜9月 158点 10%(16点)
2025年10〜12月 165点 10%(17点)

2026年10月8日までの値。後の四半期に出た本ほど、見られる期間が短い。

数字を読むときの注意

  • 数えているのは「技術書ナビが集めた記事に紹介が出るまで」の月数で、本が読まれ始めた時期そのものではない。集めた記事は年に数百本で、Zenn・Qiitaの人気の記事と一部の企業テックブログに偏っている。
  • 集めた紹介の数は年によって違い、2021年の521件から2024年の883件まで増えた。出版年ごとに見ると、最初の紹介の中央値は2021年に出た本の8.9か月から2024年に出た本の5.4か月まで短くなっている(表)。紹介が速くなったのか、集めた記事が増えて紹介を見つけやすくなったのかは、このデータでは区別できない。
  • 割合の分母は「24か月以内に1回以上紹介された本」である。紹介されなかった本は数に入っていない(出版された本全体に対する割合は新刊の節)。
  • 分野・価格の比較では、冊数が少ない区分の中央値は数冊の違いで大きく動く。冊数が20冊未満の分野は参考値とした。検定(p値)は区分ごとに「その区分と残りの本」を比べたもので、多くの区分を比べているので、p値が0.05前後の差は偶然の可能性がある。
  • 出版日は、技術書ナビのデータにある版のうちいちばん古い版の日付である。データにない古い版がある本は、実際より新しく数えている。書誌の出版日は月までしか分からないものがあり、その場合は15日とした。
出版年ごとの、最初の紹介までの月数
出版年 冊数 最初の紹介
(中央値)
四分位
(か月)
3か月
以内
12か月
以内
3本目
まで届いた
2021年 708.9か月4.0〜13.920%64%17%(12)
2022年 1109.6か月4.2〜14.522%62%16%(18)
2023年 1096.4か月3.1〜13.624%70%21%(23)
2024年 725.4か月2.0〜9.533%83%19%(14)

2024年は2024年10月8日までに出版された本。

調べ方の詳細

対象の本・月数の数え方・除外・翻訳書の判定・新刊書誌との突き合わせ

対象の本

技術書ナビの紹介データ(Zenn・Qiita・企業テックブログの記事×技術書)のうち、いちばん古い版の出版日が2021年1月1日〜2024年10月8日の本を対象にした。始まりを2021年にしたのは、Zennの記事が2020年秋からしかなく、3つの媒体がそろって集まっているのが2021年以降だからである。終わりは最新の記事(2026年10月8日)の24か月前で、どの本も出版から24か月の紹介を最後まで見られる。

そのうち、次の本を除いた。

  • いちばん古い版の書名に「第2版」「改訂新版」「新装版」などの版の表記がある本(111冊)。前の版がデータに無いだけで、新しく出た本ではないため。
  • 出版日より3か月以上前の紹介がある本(24冊)。原書や前の版を紹介した記事が同じ本として取り込まれていると考えられるため。3か月以内の発売前の紹介(予約・先行公開・献本など)は0か月として数えた。
  • 出版から24か月より後に初めて紹介された本(73冊)。残った361冊を集計した。

月数の数え方

出版日から記事の公開日までの日数を30.44で割って月数にした。同じ記事のZennとQiitaへの同時投稿は1本、版違いは同じ本として数えた(サイトのランキングと同じ数え方)。「3本目」は、出版から24か月以内の紹介記事を公開日の順に並べた3本目である。分野は本に付いたタグで分け(1冊が複数の分野に入ることがある)、差の検定には、最初の紹介までの月数はマン・ホイットニーのU検定、3本目まで届いた割合は2つの割合の差の検定を、それぞれ「その区分と残りの本」で使った。

翻訳書の判定

著者名に英字の名前か中黒入りのカタカナの名前がある本を翻訳書と推定し、2021〜2024年に出た本の推定を人が一覧で確かめて直した(英字の筆名や法人名・団体名を含む国内の本など)。LLMによる分類は使っていない。

新刊書誌との突き合わせ

楽天ブックス書籍検索APIで集めた2025年発売の書誌のうち、新刊のレポートで「技術書」の区分に分けた616点を、ISBN-13をISBN-10に直して技術書ナビの本と突き合わせた。紹介は、その版に付いた紹介だけを数えている(同じ作品の前の版の紹介は数えない)。発売日より3か月以上前の紹介は数えていない。

限界

  • 記事が本を紹介した日は記事の公開日で、書き手が本を読んだ日ではない。
  • 企業テックブログの記事は、さかのぼって集めた記事を含む。媒体ごとの記事の集め方の違いが、媒体の比較に影響している可能性がある。
  • 価格・分野・翻訳書かどうかは互いに重なっている(高い本ほど翻訳書が多いなど)。国内の本だけの中央値も出したが、ほかの要因(入門書か専門書かなど)は分けていない。

Supported by Rakuten Developers