技術書ナビ データレポート

2025年と2026年の技術書新刊を比べる

楽天ブックスの書誌3,659点を分類し、2025年1〜9月と2026年1〜9月に出た技術書を、分野・本の種類・出版社・価格・資格書の観点で比べた。

公開日: ・書誌の取得:2026年10月10日 ・作成:つみき

要点

  • 全体:技術書は451点から508点に増えた。増えた分はほぼAI関連の本(62点→124点)で、AI関連以外の技術書は389点→384点と横ばいだった。
  • 分野:AI以外では、プログラミング言語・クラウド・セキュリティ・機械学習の点数がほぼ変わらなかった。減ったのはデータ分析・統計(58点→44点)とエンジニアのキャリア(30点→16点)である。
  • 本の種類:書名に「実践」「現場」「運用」などを含む本の割合は、AI関連の本で17.7%から37.9%に上がった。AI関連以外では20%前後のままで、翻訳書の割合も12%台で変わらない。
  • 出版社:プリントオンデマンド(POD)のインプレスNextPublishingの技術書が19点から48点に増えた。増えた分の多くは「技術の泉シリーズ」で、その半分近くがAI関連である。
  • 価格:技術書の価格の中央値は3,080円から3,300円に上がった。上がったのはAI関連以外の本で、PODを除くと差は統計的にもはっきりする。
  • 資格書:高校「情報I」・共通テスト対策の本が24点から42点に増え、情報処理の高度試験の本(30点→16点)とLPIC・CCNAの本(6点→1点)が減った。
  • 技術書の外側:非エンジニア向けの生成AI活用本は81点から179点に増えた。書名にExcel・WordなどOffice製品の名前を含むPC利用本は104点から56点に減った。

調べ方の概要

楽天ブックス書籍検索APIで、ジャンル「パソコン・システム開発」の全書誌と、IT系出版社28社の刊行物(書名にIT系の語を含むもの)を集めた。2025年1月〜2026年12月発売(予定を含む)の和書3,659点である。

各書をLLM(Claude Sonnet)とキーワード規則で「技術書」「生成AI活用」「PC・スマホ利用」「資格・試験」「雑誌・ムック」「IT以外」に分け、技術書には分野(トピック)を付けた。2026年10月以降は予約登録の途中なので、比較は両年の1〜9月どうしで行う。

技術書は各年450〜510点しかなく、数点の差は偶然でも生じうる。そこで表にはFisherの正確検定によるp値を添えた(価格はMann-WhitneyのU検定)。p値が0.05を下回らない差は「傾向」として読んでほしい。手順の詳細は調べ方の詳細にまとめた。

全体

技術書の増加分は、ほぼAI関連の本だった

区分ごとの点数(1〜9月)
区分 2025年1〜9月 2026年1〜9月
技術書 451(34.7%) 508(34.2%)
生成AI活用 81(6.2%) 179(12.0%)
PC・スマホ利用 262(20.2%) 224(15.1%)
資格・試験 137(10.5%) 166(11.2%)
雑誌・ムック 81(6.2%) 85(5.7%)
IT以外 288(22.2%) 324(21.8%)
うち技術書のAI関連 62(技術書の13.7%) 124(技術書の24.4%)

割合はその期間の全1,300点・1,486点に対するもの。

技術書は57点増え、AI関連の本(LLM・AIエージェント・MCP・RAG・AIコーディング支援のどれかを主題とする本)は62点増えた。AI関連以外の技術書は389点から384点で、ほぼ同じ数である。このため以下でAI以外の分野を比べるときは、点数をそのまま比べても大きな偏りは出ない。

月別に見ると(図1)、AI関連の本は2025年1〜10月には月4〜11点だった。2025年11月に21点に増え、2026年1〜9月は月8〜22点で推移している。技術書全体の月別点数には2025年3月(70点)のような山があるが、2026年3月は57点で、両年に共通する季節の山は見られなかった。

図1 月別の技術書新刊点数(濃い部分がAI関連。*は登録済みの予定分)
2025年
月 技術書 AI関連 グラフ
1月 43 5
2月 52 8
3月 70 11
4月 47 4
5月 37 4
6月 44 8
7月 50 8
8月 48 7
9月 60 7
10月 49 9
11月 67 21
12月 49 12
2026年
月 技術書 AI関連 グラフ
1月 49 10
2月 53 10
3月 57 11
4月 62 8
5月 49 12
6月 54 15
7月 61 16
8月 52 20
9月 71 22
10月* 54 14
11月* 50 13
12月* 26 4

分野

AI以外の分野は大半が横ばいで、データ分析とキャリアの本が減った

図2 分野別の技術書の点数(1〜9月。1冊が複数の分野に入る)
  • AI関連(LLM・エージェント・MCP・RAG・AIコーディング) p<0.001 62 124
  • プログラミング言語(いずれか) 93 108
  • データ(分析・統計・基盤・DB) p=0.046 79 65
  • マネジメント・キャリア・DX 65 69
  • クラウド・インフラ・運用 61 65
  • CS基礎・アルゴリズム・数学 53 50
  • 機械学習・深層学習 49 55
  • Web・フロントエンド・モバイル 35 52
  • 設計・テスト 29 50
  • セキュリティ 31 33
  • プログラミング入門・教育 30 34
  • 組込み・IoT・ロボット・量子 23 31
  • ローコード・業務自動化 24 17
  • ゲーム開発・3D 16 13

AI以外の分野で、2年の差が統計的にはっきりしたのはデータ(分析・統計・基盤・DB)だけだった(79点→65点、p=0.046)。プログラミング言語(93点→108点)、クラウド・インフラ(61点→65点)、セキュリティ(31点→33点)、機械学習(49点→55点)は、点数がほぼ変わっていない。Pythonも52点と50点である。

減った分野

  • データ分析・統計は58点から44点に減った(p=0.036)。ただし減少の多くは、出版社名で補完した本(統計学の教科書が多い)で33点から22点に減った分である。楽天のジャンル「パソコン・システム開発」の本だけで数えると25点から22点で、ほとんど変わらない。
  • エンジニアのキャリア・仕事術は30点から16点に減った(p=0.015)。2025年には『エンジニアリングマネージャーお悩み相談室』(翔泳社、2025年7月)や『技術広報の教科書』(技術評論社、2025年9月)のような、マネジメントや技術広報の本がまとまって出ていた。
  • ブロックチェーン・Web3は6点から1点になった。IT系の本全体で書名・紹介文に「ブロックチェーン」「Web3」「NFT」を含む本も9点から1点に減っている(p=0.008)。

増えた傾向の分野

Web・フロントエンド・モバイル(35点→52点)と設計・テスト(29点→50点)が増えたが、どちらもp値は0.05を上回る。

Java・Kotlinは3点から11点で(p=0.062)、2026年6月に定番入門書の改訂と新刊が重なった。『スッキリわかるJava入門 第5版』(インプレス)、『3ステップでしっかり学ぶ Java入門[改訂第3版]』(技術評論社)、『作って学ぶ Spring Boot入門』(技術評論社)などである。

分野の詳細(AI以外。両年合わせて10点以上の分野)
分野 2025年1〜9月 2026年1〜9月 p値
機械学習・深層学習 49(10.9%) 55(10.8%) 1.0
CS基礎・アルゴリズム・数学 53(11.8%) 50(9.8%) 0.35
データ分析・統計 58(12.9%) 44(8.7%) 0.036
Python 52(11.5%) 50(9.8%) 0.40
Web制作・HTML/CSS 28(6.2%) 37(7.3%) 0.52
設計・アーキテクチャ 25(5.5%) 40(7.9%) 0.16
セキュリティ 31(6.9%) 33(6.5%) 0.90
プログラミング入門・教育 30(6.7%) 34(6.7%) 1.0
クラウド(AWS/Azure/GCP) 27(6.0%) 29(5.7%) 0.89
アジャイル・マネジメント 26(5.8%) 28(5.5%) 0.89
DX・IT戦略 17(3.8%) 30(5.9%) 0.14
エンジニアのキャリア・仕事術 30(6.7%) 16(3.1%) 0.015
Linux・OS・シェル 19(4.2%) 18(3.5%) 0.62
TypeScript・JavaScript 13(2.9%) 23(4.5%) 0.23
組込み・IoT・電子工作 16(3.5%) 20(3.9%) 0.87
ローコード・業務自動化 20(4.4%) 14(2.8%) 0.17
ゲーム開発・3D 16(3.5%) 13(2.6%) 0.45
フロントエンド(React等) 13(2.9%) 15(3.0%) 1.0
ネットワーク 13(2.9%) 15(3.0%) 1.0
DB・SQL 13(2.9%) 11(2.2%) 0.54
データ基盤 10(2.2%) 12(2.4%) 1.0
C・C++ 11(2.4%) 11(2.2%) 0.83
DevOps・SRE・可観測性 10(2.2%) 9(1.8%) 0.65
テスト・品質 5(1.1%) 12(2.4%) 0.22
ロボット・自動運転 5(1.1%) 10(2.0%) 0.31
Java・Kotlin 3(0.7%) 11(2.2%) 0.062
Kubernetes・コンテナ 6(1.3%) 5(1.0%) 0.76
Git・開発ツール 5(1.1%) 6(1.2%) 1.0
C#・.NET 7(1.6%) 3(0.6%) 0.20
PHP・Ruby 5(1.1%) 5(1.0%) 1.0

割合は技術書(451点・508点)に対するもの。

AI以外の製品名・技術名

IT系の本(技術書・生成AI活用・PC利用・資格・雑誌。1,012点・1,162点)の書名・副題・紹介文に、AI以外の製品名・技術名が現れた本を数えた。統計的にはっきり減ったのは、PC利用の本に多いOffice・Excel・VBAとWindows 10、それにブロックチェーンである(Office・Windowsは技術書の外側で扱う)。ほかの語は、増えた側も減った側も偶然の範囲にとどまる。

AI以外の製品名・技術名を含む本の数
語 2025年1〜9月 2026年1〜9月 p値
Office 2024 77 41 <0.001
Excel 114 83 <0.001
VBA・マクロ 28 16 0.031
Windows 10 9 1 0.008
Windows 11 21 28 0.67
ブロックチェーン・Web3 9 1 0.008
Unity 9 3 0.078
AWS 24 18 0.21
JavaScript 20 12 0.076
Python 89 78 0.076
Java 9 15 0.42
Canva 7 18 0.070
Scratch・子ども向けプログラミング 9 21 0.096
リファクタリング・レガシー移行 3 9 0.16
Flutter 1 5 0.22
Rust 3 6 0.52

AI関連

AI関連では、エージェントとAIコーディングの本が増えた

AI関連の分野の点数
分野 2025年1〜9月 2026年1〜9月 p値
LLM・生成AI 57(12.6%) 100(19.7%) 0.004
AIエージェント 13(2.9%) 54(10.6%) <0.001
AIコーディング支援 9(2.0%) 38(7.5%) <0.001
MCP 1(0.2%) 9(1.8%) 0.023
RAG 5(1.1%) 10(2.0%) 0.31

AI関連の本の中では、AIエージェント(13点→54点)とAIコーディング支援(9点→38点)の伸びが大きい。RAGは5点から10点で、統計的にはっきりした差ではない。

書名・紹介文に「Claude Code」を含む本は、2025年1〜9月の0点から2026年1〜9月の29点になった。書名に掲げた最初の本は2025年12月の『Claude CodeによるAI駆動開発入門』と『実践Claude Code入門』(いずれも技術評論社)で、2026年には『開発効率をアップする! Claude Code 実用入門』(マイナビ出版、5月)や『Claude Code実践入門』(SBクリエイティブ、8月)が続いた。

AIエージェントの本には、作り方に加えて組織への導入や運用を扱うものが出ている。『LLM・AIエージェントシステムベストプラクティス』(翔泳社、2026年8月)、『AIエージェント導入を任されたら読む本』(日経BP、2026年9月)、『Claude Code 組織導入と運用の教科書』(リンケージ・パブリッシング、2026年8月)などである。逆に「LangChain」「OpenAI API」「プロンプトエンジニアリング」を含む本は減った(下の表)。

AI関連の語を書名・紹介文に含む本の数
語 2025年1〜9月 2026年1〜9月 初出
Claude Code 0 29 2025年10月
AIエージェント 23 83 2025年1月
MCP 1 9 2025年8月
NotebookLM 4 24 2025年1月
Claude Cowork 0 9 2026年7月
フィジカルAI 1 9 2025年9月
コンテキストエンジニアリング 0 5 2026年2月
LangChain 6 2 2025年2月
プロンプトエンジニアリング 7 2 2025年3月
OpenAI API 6 0 2025年2月

IT系の本の書名・副題・シリーズ名・紹介文に現れた本の数。初出は2025年1月以降で最初に現れた発売月。

書名に入る生成AIの製品名では、Gemini(5点→44点)がChatGPT(30点→41点)を上回り、Claude(1点→31点)も増えた(IT系の本の書名・副題・シリーズ名)。

本の種類と翻訳書

書名に「実践」「運用」を掲げる本は、AI関連でだけ増えた

技術書の書名・副題・シリーズ名に含まれる語で、本の種類を分けた。1冊が複数に入ることがある。

書名の語による本の種類
書名の語 AI関連(62点・124点) AI関連以外(389点・384点)
2025年 2026年 2025年 2026年
入門・初心者向け 27(43.5%) 49(39.5%) 116(29.8%) 132(34.4%)
実践・現場・実装・運用 11(17.7%) 47(37.9%) 76(19.5%) 79(20.6%)
理論・原理・仕組み 5(8.1%) 10(8.1%) 35(9.0%) 50(13.0%)
教科書・テキスト・講義 5(8.1%) 11(8.9%) 30(7.7%) 31(8.1%)
図解・イラスト・マンガ 0(0.0%) 3(2.4%) 16(4.1%) 14(3.6%)
レシピ・逆引き・大全 2(3.2%) 0(0.0%) 12(3.1%) 17(4.4%)
ドリル・演習・問題集 0(0.0%) 0(0.0%) 10(2.6%) 10(2.6%)

「実践」「現場」「実装」「運用」などを含む本は、AI関連の本で11点(17.7%)から47点(37.9%)に増えた(p=0.007)。AI関連以外の本では19.5%と20.6%で、変化がない。「入門」「はじめて」などを含む本は技術書全体で31.7%から35.6%で、差は偶然の範囲にとどまる。

翻訳書(著者欄に海外の著者名と日本語の訳者名が並ぶ本)は55点(12.2%)から64点(12.6%)で、割合は変わらなかった。約半数はオライリー・ジャパンの本である(28点・30点)。

出版社

PODのインプレスNextPublishingが、19点から48点に増えた

出版社別の技術書の点数(1〜9月、両年合計の上位15社)
出版社 2025年1〜9月 2026年1〜9月 うちAI関連 p値
技術評論社 76 91 10→26 0.67
翔泳社 38 35 2→8 0.39
インプレスNextPublishing 19 48 2→18 0.001
日経BP 33 34 6→15 0.71
オライリー・ジャパン 29 32 5→9 1.0
インプレス 24 31 8→8 0.68
近代科学社 20 16 2→0 0.31
オーム社 22 11 7→3 0.032
共立出版 18 15 0→1 0.38
秀和システム・秀和システム新社 20 13 4→4 0.15
マイナビ出版 12 17 3→6 0.58
SBクリエイティブ 12 15 1→3 0.85
シーアンドアール研究所 11 11 0→3 0.83
コロナ社 7 13 0→2 0.37
講談社 8 11 1→2 0.82

技術書の点数、両年合計の上位15社。日経BPは日本経済新聞出版などを含む。秀和システムは書誌上の出版社名が2025年に「秀和システム新社」へ変わっているので合算した。

点数が最も大きく変わったのは、注文ごとに印刷するプリントオンデマンド(POD)のインプレスNextPublishingである(p=0.001)。技術書に占める割合は4.2%から9.4%になった。増えた分の大半は「技術の泉シリーズ」(12点→42点)で、2026年の42点のうち19点がAI関連である。『Claude Code開発体系』(2026年2月)や『完全理解!MCPサーバー入門』(2026年3月)がある。PODの技術書の価格は中央値2,200円で、技術書全体より1,000円ほど安い。

2025年1〜9月には技術書が1点もなく、2026年1〜9月に3点以上を出した出版社はZEN大学出版会(8点)とリンケージ・パブリッシング(4点)である。ZEN大学出版会は『BSDカーネルの設計と実装 改訂2版』(2026年6月)や『Kotlinによる関数型プログラミング入門』(2026年7月)を出している。

上位5社が技術書に占める割合は44.3%から47.2%で、大きな変化はない。減った出版社ではオーム社(22点→11点、p=0.032)と秀和システム(20点→13点)が目立つ。

価格

技術書の価格の中央値は、3,080円から3,300円になった

販売価格の中央値(税込)
対象 2025年1〜9月 2026年1〜9月 p値
技術書全体451点・508点 3,080円 3,300円 0.079
技術書(AI関連以外)389点・384点 3,080円 3,300円 0.059
技術書(AI関連)62点・124点 3,300円 3,300円 0.83
技術書(翻訳書)55点・64点 3,960円 4,400円 0.075
技術書(POD以外)432点・460点 3,124円 3,300円 0.002
生成AI活用81点・179点 2,090円 2,200円 0.63
PC・スマホ利用262点・224点 2,200円 2,200円 0.90

書誌の取得時(2026年10月10日)の楽天ブックスの販売価格(税込)の中央値。

技術書全体での差のp値は0.079で、これだけでははっきりしない。ただし、安価なPOD(大半が2,200円)が増えたことが差を小さく見せている。PODを除くと中央値は3,124円から3,300円で、p=0.002になる。4,000円以上の本は71点(15.7%)から104点(20.5%)に増えた。

AI関連の本の中央値は3,300円と3,300円で変わらず、上がったのはAI関連以外の本(3,080円→3,300円)である。翻訳書は3,960円から4,400円だった。2026年には275,000円の調査報告書のような高額な本が含まれるので、平均値は使っていない。

図3 価格帯別の技術書の割合(1〜9月)
  • 2,000円未満 8.2% 5.1%
  • 2,000〜2,999円 35.5% 35.0%
  • 3,000〜3,999円 40.6% 39.4%
  • 4,000〜4,999円 12.6% 15.0%
  • 5,000円以上 3.1% 5.5%

資格・試験

資格書では「情報I」が増え、高度試験とLPIC・CCNAが減った

試験別の資格・試験の本の点数
試験 2025年1〜9月 2026年1〜9月 p値
高校「情報I」・共通テスト 24 42 0.12
情報処理の高度試験(支援士・スペシャリスト等) 30 16 0.004
ITパスポート 10 11 0.82
基本情報技術者 6 8 1.0
応用情報技術者 4 3 0.71
AWS・Azure・Google Cloud認定 10 9 0.64
AI・データ系(G検定・生成AIパスポート・統計検定など) 5 11 0.31
Office・PC系(MOS・日商PC検定など) 8 11 0.82
LPIC・LinuC・CCNA 6 1 0.049
資格・試験の本の全体 137 166

書名・副題・シリーズ名で試験を判定した。どれにも入らない本(CAD利用技術者、工事担任者、全商情報処理検定など)がある。

資格・試験の本は137点から166点に増えた。増えたのは高校「情報I」・共通テスト対策(24点→42点)である。減ったのは情報処理の高度試験(30点→16点、p=0.004)と、LPIC・LinuC・CCNA(6点→1点、p=0.049)だった。

高度試験の本の減少は7〜9月に集中している。2025年7〜9月には『2026年度版 ALL IN ONE パーフェクトマスター ネットワークスペシャリスト』(TAC出版、2025年8月)など13点が出たが、2026年7〜9月には0点だった。資格・試験の本全体でも7〜9月は49点から17点に減っている。翌年度版の発売が10月以降にずれた可能性もあるため、通年の点数がそろってから見直す必要がある。

技術書の外側

生成AI活用本が倍増し、Office製品の本はほぼ半減した

非エンジニア向けの生成AI活用本は81点から179点に増えた。PC・スマホ利用の本は262点から224点に減り、そのうち書名にExcel・Word・PowerPointなどOffice製品の名前を含む本は104点から56点になった(p<0.001)。

この減少には、2025年に改訂版が集中した反動が含まれる。PC利用の本のうち書名に「Office 2024」「Excel 2024」などを含む本は、2025年1〜9月の60点に対して2026年1〜9月は28点だった。2025年前半には『Excel 2024 やさしい教科書』(SBクリエイティブ、2025年1月)のような、Office 2024に合わせた改訂版が並んでいる。

Windows 10を書名・紹介文に含む本も9点から1点に減った。2025年には、同年10月のサポート終了に向けた『できるWindows 10 → 11 かんたん移行ガイド』(インプレス、2025年8月)のような移行案内が出ていた。

差が見られなかった観点

  • 判型:技術書のほぼすべてが楽天の分類で「単行本」で、比べられなかった。
  • 月別の季節性:両年に共通する山はなかった(図1)。
  • 出版社の集中度:上位5社の割合は44.3%→47.2%で、出版社の数も65社→68社とほぼ同じだった。
  • 翻訳書の割合:12.2%→12.6%。
  • AI関連の本が他分野も扱う割合:AI関連の本のうち、AI以外の分野(Python、クラウド、設計など)も持つ本は64.5%→62.9%で、AIの本が他分野に広がったとは言えない。
  • 「入門」「図解」「教科書」「レシピ」「ドリル」など、実践系以外の書名の語(表は本の種類)。

解釈

ここからは、上の数字に対する筆者の解釈である。

2026年の技術書の増加は、分野全体の拡大ではなく、AI関連の本の上乗せとして起きている。AI関連以外の技術書の点数は変わらず、Python・クラウド・セキュリティなどの定番分野も点数を保っている。出版社は既存分野の企画を減らしてAI関連に振り替えたというより、既存分野を維持したままAI関連を足したように見える。

上乗せされた本の一部はPODで出ている。PODのAI関連の本は2点から18点に増えており、AI関連の本の増加62点のうち16点に当たる。製品の更新が速い分野で、短い期間で出せる出版形態が使われている可能性がある。

価格の上昇はAI関連以外の本で起きており、AI関連の本の増加とは別の動きである。用紙代や印刷費の上昇が理由として考えられるが、このデータからは確かめられない。

調べ方の詳細

データ源と分類の手順

データ源

楽天ブックス書籍検索API(BooksBook)で書誌を集めた。対象は次の二つの和である。

  1. ジャンル「パソコン・システム開発」(booksGenreId 001005)の全サブジャンル(72ジャンル)を発売日の新しい順に取得し、2025年より前の本しか出てこなくなるまでページをたどった。APIは1検索あたり100ページ(3,000件)までしか返さないが、どのジャンルも上限に達する前に2024年以前に到達した。
  2. 楽天は技術書の一部を「ビジネス・経済」や「科学・技術」に分類している。たとえば『[みのるん式]ビジネスパーソンのためのClaude Code仕事術』(技術評論社、2026年9月)や『データマネジメント 仕組みづくりの教科書』(日経BP、2025年9月)は001005に入っていない。これを拾うため、IT系の書籍が多い出版社28社の刊行物を出版社名で同じ方法で取得し、書名にIT系の語を含む本だけを加えた。KADOKAWAと講談社は刊行点数が多く2025年1月まで遡れなかったので、出版社名での取得からは外した。

発売日は楽天のsalesDateを年月に直して使った。ISBNが9784で始まる本に限り、ISBNで重複を除いた。結果は3,659点(001005から2,805点、出版社名での取得から854点)である。2026年10〜12月の技術書は登録済みの予定分だけで130点(2025年10〜12月は165点)なので、比較には使っていない。

区分と分野

区分(6種)と分野(45個の固定リスト)は、LLM(Claude Sonnet)による判定と、書名・副題・シリーズ名に対するキーワード規則を併用した。LLMには書名・副題・出版社・判型・楽天のジャンル名・商品説明(先頭400字)を渡した。キーワード規則は書名に製品名や固有の術語が出る場合(「Claude Code」「MCP」「Rust」など)に限ってLLMの結果に足し、「設計」「データ」のような一般語で誤検出しやすい分野はLLMの判定だけを使った。判型が「ムックその他」の本と、雑誌名と号数を含む本は、LLMの判定にかかわらず雑誌・ムックにした。

LLMの判定は、本を無作為に並べ替えてから120冊ずつ区切って行った(発売日順に区切ると、2025年の本と2026年の本を別々のサブエージェントが受け持ち、判定の癖が年の差に混ざるため)。発売日順で区切った1回目の判定との一致率は区分で87.3%、主要な分野の一致度(Dice係数)は0.80〜0.97である。

このレポートで足した判定と、その確認

  • 本の種類:書名・副題・シリーズ名に含まれる語で判定した(表の行名の語)。「実践」系の語に当たった本から25冊を抜いて確かめたところ、22冊はその語が本の性格を表していた(「BSDカーネルの設計と実装」の「実装」のように、性格を表さない例がある)。
  • 翻訳書:著者欄に欧文の人名またはカタカナの中黒入りの人名と、漢字の名前が並ぶ本とした。1〜9月の技術書で当たった119点を全件確かめ、117点が翻訳書だった。著者欄にカタカナだけで書かれた翻訳書は拾えないので、点数はやや少なめに出ている。
  • 出版社:表記ゆれ(オライリー・ジャパン、日経BPの各社名)をまとめ、秀和システムと秀和システム新社を合算した。PODはインプレスNextPublishingの本とした。
  • 価格:楽天の書誌のitemPrice(取得時の税込販売価格)を使った。発売後の改定は反映されない。
  • 試験:資格・試験の区分の本を、書名・副題・シリーズ名の試験名で分けた。高度試験とLPIC・CCNAに当たった本は全件確かめ、誤りはなかった。
  • 製品名・技術名:書名・副題・シリーズ名・商品説明に対する正規表現の照合で、本の数を数えた。紹介文で一度触れただけの本も数に入る。
  • AI関連:LLM・生成AI、AIエージェント、MCP、RAG、AIコーディング支援のいずれかの分野を持つ本とした。

限界

  • 楽天ブックスに登録された書誌だけを見ている。同人誌や技術書典の頒布物、電子書籍だけの本は入らない。出版社名での補完も28社に限られる。
  • 区分と分野はLLMの判定に依存する。特に「技術書」と「生成AI活用」の境界は判断の余地が大きい。無作為に抜いた50冊の目視確認では、区分は47冊(94%)、分野は41個中38個(93%)が妥当だった。
  • 同じ本の通常版とPOD版が別ISBNで載っていることがある(題名がほぼ同じ組は5組)。点数への影響は小さいので除いていない。

データについて

書誌は楽天ブックス書籍検索API(楽天ウェブサービス)で2026年10月10日に取得しました。発売予定の本は取得時点の予約登録にもとづくため、発売日・書名が変わることがあります。 このページには集計値と、本文で挙げた本の書名・出版社・発売年月だけを載せ、楽天の商品説明や書誌の一覧は載せていません。

本文の書名は、技術書ナビでZenn・Qiitaなどの紹介記事を集めている本だけ書籍ページへリンクしています。技術書ナビの本体のランキング(記事での言及数)とは別の集計です。

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