技術書ナビ データレポート
2025年と2026年の技術書新刊を比べる
楽天ブックスの書誌3,659点を分類し、2025年1〜9月と2026年1〜9月に出た技術書を、分野・本の種類・出版社・価格・資格書の観点で比べた。
公開日: ・書誌の取得:2026年10月10日 ・作成:つみき
目次
要点
- 全体:技術書は451点から508点に増えた。増えた分はほぼAI関連の本(62点→124点)で、AI関連以外の技術書は389点→384点と横ばいだった。
- 分野:AI以外では、プログラミング言語・クラウド・セキュリティ・機械学習の点数がほぼ変わらなかった。減ったのはデータ分析・統計(58点→44点)とエンジニアのキャリア(30点→16点)である。
- 本の種類:書名に「実践」「現場」「運用」などを含む本の割合は、AI関連の本で17.7%から37.9%に上がった。AI関連以外では20%前後のままで、翻訳書の割合も12%台で変わらない。
- 出版社:プリントオンデマンド(POD)のインプレスNextPublishingの技術書が19点から48点に増えた。増えた分の多くは「技術の泉シリーズ」で、その半分近くがAI関連である。
- 価格:技術書の価格の中央値は3,080円から3,300円に上がった。上がったのはAI関連以外の本で、PODを除くと差は統計的にもはっきりする。
- 資格書:高校「情報I」・共通テスト対策の本が24点から42点に増え、情報処理の高度試験の本(30点→16点)とLPIC・CCNAの本(6点→1点)が減った。
- 技術書の外側:非エンジニア向けの生成AI活用本は81点から179点に増えた。書名にExcel・WordなどOffice製品の名前を含むPC利用本は104点から56点に減った。
調べ方の概要
楽天ブックス書籍検索APIで、ジャンル「パソコン・システム開発」の全書誌と、IT系出版社28社の刊行物(書名にIT系の語を含むもの)を集めた。2025年1月〜2026年12月発売(予定を含む)の和書3,659点である。
各書をLLM(Claude Sonnet)とキーワード規則で「技術書」「生成AI活用」「PC・スマホ利用」「資格・試験」「雑誌・ムック」「IT以外」に分け、技術書には分野(トピック)を付けた。2026年10月以降は予約登録の途中なので、比較は両年の1〜9月どうしで行う。
技術書は各年450〜510点しかなく、数点の差は偶然でも生じうる。そこで表にはFisherの正確検定によるp値を添えた(価格はMann-WhitneyのU検定)。p値が0.05を下回らない差は「傾向」として読んでほしい。手順の詳細は調べ方の詳細にまとめた。
全体
技術書の増加分は、ほぼAI関連の本だった
| 区分 | 2025年1〜9月 | 2026年1〜9月 |
|---|---|---|
| 技術書 | 451(34.7%) | 508(34.2%) |
| 生成AI活用 | 81(6.2%) | 179(12.0%) |
| PC・スマホ利用 | 262(20.2%) | 224(15.1%) |
| 資格・試験 | 137(10.5%) | 166(11.2%) |
| 雑誌・ムック | 81(6.2%) | 85(5.7%) |
| IT以外 | 288(22.2%) | 324(21.8%) |
| うち技術書のAI関連 | 62(技術書の13.7%) | 124(技術書の24.4%) |
割合はその期間の全1,300点・1,486点に対するもの。
技術書は57点増え、AI関連の本(LLM・AIエージェント・MCP・RAG・AIコーディング支援のどれかを主題とする本)は62点増えた。AI関連以外の技術書は389点から384点で、ほぼ同じ数である。このため以下でAI以外の分野を比べるときは、点数をそのまま比べても大きな偏りは出ない。
月別に見ると(図1)、AI関連の本は2025年1〜10月には月4〜11点だった。2025年11月に21点に増え、2026年1〜9月は月8〜22点で推移している。技術書全体の月別点数には2025年3月(70点)のような山があるが、2026年3月は57点で、両年に共通する季節の山は見られなかった。
| 月 | 技術書 | AI関連 | グラフ |
|---|---|---|---|
| 1月 | 43 | 5 | |
| 2月 | 52 | 8 | |
| 3月 | 70 | 11 | |
| 4月 | 47 | 4 | |
| 5月 | 37 | 4 | |
| 6月 | 44 | 8 | |
| 7月 | 50 | 8 | |
| 8月 | 48 | 7 | |
| 9月 | 60 | 7 | |
| 10月 | 49 | 9 | |
| 11月 | 67 | 21 | |
| 12月 | 49 | 12 |
| 月 | 技術書 | AI関連 | グラフ |
|---|---|---|---|
| 1月 | 49 | 10 | |
| 2月 | 53 | 10 | |
| 3月 | 57 | 11 | |
| 4月 | 62 | 8 | |
| 5月 | 49 | 12 | |
| 6月 | 54 | 15 | |
| 7月 | 61 | 16 | |
| 8月 | 52 | 20 | |
| 9月 | 71 | 22 | |
| 10月* | 54 | 14 | |
| 11月* | 50 | 13 | |
| 12月* | 26 | 4 |
分野
AI以外の分野は大半が横ばいで、データ分析とキャリアの本が減った
- AI関連(LLM・エージェント・MCP・RAG・AIコーディング) p<0.001 62 124
- プログラミング言語(いずれか) 93 108
- データ(分析・統計・基盤・DB) p=0.046 79 65
- マネジメント・キャリア・DX 65 69
- クラウド・インフラ・運用 61 65
- CS基礎・アルゴリズム・数学 53 50
- 機械学習・深層学習 49 55
- Web・フロントエンド・モバイル 35 52
- 設計・テスト 29 50
- セキュリティ 31 33
- プログラミング入門・教育 30 34
- 組込み・IoT・ロボット・量子 23 31
- ローコード・業務自動化 24 17
- ゲーム開発・3D 16 13
AI以外の分野で、2年の差が統計的にはっきりしたのはデータ(分析・統計・基盤・DB)だけだった(79点→65点、p=0.046)。プログラミング言語(93点→108点)、クラウド・インフラ(61点→65点)、セキュリティ(31点→33点)、機械学習(49点→55点)は、点数がほぼ変わっていない。Pythonも52点と50点である。
減った分野
- データ分析・統計は58点から44点に減った(p=0.036)。ただし減少の多くは、出版社名で補完した本(統計学の教科書が多い)で33点から22点に減った分である。楽天のジャンル「パソコン・システム開発」の本だけで数えると25点から22点で、ほとんど変わらない。
- エンジニアのキャリア・仕事術は30点から16点に減った(p=0.015)。2025年には『エンジニアリングマネージャーお悩み相談室』(翔泳社、2025年7月)や『技術広報の教科書』(技術評論社、2025年9月)のような、マネジメントや技術広報の本がまとまって出ていた。
- ブロックチェーン・Web3は6点から1点になった。IT系の本全体で書名・紹介文に「ブロックチェーン」「Web3」「NFT」を含む本も9点から1点に減っている(p=0.008)。
増えた傾向の分野
Web・フロントエンド・モバイル(35点→52点)と設計・テスト(29点→50点)が増えたが、どちらもp値は0.05を上回る。
Java・Kotlinは3点から11点で(p=0.062)、2026年6月に定番入門書の改訂と新刊が重なった。『スッキリわかるJava入門 第5版』(インプレス)、『3ステップでしっかり学ぶ Java入門[改訂第3版]』(技術評論社)、『作って学ぶ Spring Boot入門』(技術評論社)などである。
分野の詳細(AI以外。両年合わせて10点以上の分野)
| 分野 | 2025年1〜9月 | 2026年1〜9月 | p値 |
|---|---|---|---|
| 機械学習・深層学習 | 49(10.9%) | 55(10.8%) | 1.0 |
| CS基礎・アルゴリズム・数学 | 53(11.8%) | 50(9.8%) | 0.35 |
| データ分析・統計 | 58(12.9%) | 44(8.7%) | 0.036 |
| Python | 52(11.5%) | 50(9.8%) | 0.40 |
| Web制作・HTML/CSS | 28(6.2%) | 37(7.3%) | 0.52 |
| 設計・アーキテクチャ | 25(5.5%) | 40(7.9%) | 0.16 |
| セキュリティ | 31(6.9%) | 33(6.5%) | 0.90 |
| プログラミング入門・教育 | 30(6.7%) | 34(6.7%) | 1.0 |
| クラウド(AWS/Azure/GCP) | 27(6.0%) | 29(5.7%) | 0.89 |
| アジャイル・マネジメント | 26(5.8%) | 28(5.5%) | 0.89 |
| DX・IT戦略 | 17(3.8%) | 30(5.9%) | 0.14 |
| エンジニアのキャリア・仕事術 | 30(6.7%) | 16(3.1%) | 0.015 |
| Linux・OS・シェル | 19(4.2%) | 18(3.5%) | 0.62 |
| TypeScript・JavaScript | 13(2.9%) | 23(4.5%) | 0.23 |
| 組込み・IoT・電子工作 | 16(3.5%) | 20(3.9%) | 0.87 |
| ローコード・業務自動化 | 20(4.4%) | 14(2.8%) | 0.17 |
| ゲーム開発・3D | 16(3.5%) | 13(2.6%) | 0.45 |
| フロントエンド(React等) | 13(2.9%) | 15(3.0%) | 1.0 |
| ネットワーク | 13(2.9%) | 15(3.0%) | 1.0 |
| DB・SQL | 13(2.9%) | 11(2.2%) | 0.54 |
| データ基盤 | 10(2.2%) | 12(2.4%) | 1.0 |
| C・C++ | 11(2.4%) | 11(2.2%) | 0.83 |
| DevOps・SRE・可観測性 | 10(2.2%) | 9(1.8%) | 0.65 |
| テスト・品質 | 5(1.1%) | 12(2.4%) | 0.22 |
| ロボット・自動運転 | 5(1.1%) | 10(2.0%) | 0.31 |
| Java・Kotlin | 3(0.7%) | 11(2.2%) | 0.062 |
| Kubernetes・コンテナ | 6(1.3%) | 5(1.0%) | 0.76 |
| Git・開発ツール | 5(1.1%) | 6(1.2%) | 1.0 |
| C#・.NET | 7(1.6%) | 3(0.6%) | 0.20 |
| PHP・Ruby | 5(1.1%) | 5(1.0%) | 1.0 |
割合は技術書(451点・508点)に対するもの。
AI以外の製品名・技術名
IT系の本(技術書・生成AI活用・PC利用・資格・雑誌。1,012点・1,162点)の書名・副題・紹介文に、AI以外の製品名・技術名が現れた本を数えた。統計的にはっきり減ったのは、PC利用の本に多いOffice・Excel・VBAとWindows 10、それにブロックチェーンである(Office・Windowsは技術書の外側で扱う)。ほかの語は、増えた側も減った側も偶然の範囲にとどまる。
| 語 | 2025年1〜9月 | 2026年1〜9月 | p値 |
|---|---|---|---|
| Office 2024 | 77 | 41 | <0.001 |
| Excel | 114 | 83 | <0.001 |
| VBA・マクロ | 28 | 16 | 0.031 |
| Windows 10 | 9 | 1 | 0.008 |
| Windows 11 | 21 | 28 | 0.67 |
| ブロックチェーン・Web3 | 9 | 1 | 0.008 |
| Unity | 9 | 3 | 0.078 |
| AWS | 24 | 18 | 0.21 |
| JavaScript | 20 | 12 | 0.076 |
| Python | 89 | 78 | 0.076 |
| Java | 9 | 15 | 0.42 |
| Canva | 7 | 18 | 0.070 |
| Scratch・子ども向けプログラミング | 9 | 21 | 0.096 |
| リファクタリング・レガシー移行 | 3 | 9 | 0.16 |
| Flutter | 1 | 5 | 0.22 |
| Rust | 3 | 6 | 0.52 |
AI関連
AI関連では、エージェントとAIコーディングの本が増えた
| 分野 | 2025年1〜9月 | 2026年1〜9月 | p値 |
|---|---|---|---|
| LLM・生成AI | 57(12.6%) | 100(19.7%) | 0.004 |
| AIエージェント | 13(2.9%) | 54(10.6%) | <0.001 |
| AIコーディング支援 | 9(2.0%) | 38(7.5%) | <0.001 |
| MCP | 1(0.2%) | 9(1.8%) | 0.023 |
| RAG | 5(1.1%) | 10(2.0%) | 0.31 |
AI関連の本の中では、AIエージェント(13点→54点)とAIコーディング支援(9点→38点)の伸びが大きい。RAGは5点から10点で、統計的にはっきりした差ではない。
書名・紹介文に「Claude Code」を含む本は、2025年1〜9月の0点から2026年1〜9月の29点になった。書名に掲げた最初の本は2025年12月の『Claude CodeによるAI駆動開発入門』と『実践Claude Code入門』(いずれも技術評論社)で、2026年には『開発効率をアップする! Claude Code 実用入門』(マイナビ出版、5月)や『Claude Code実践入門』(SBクリエイティブ、8月)が続いた。
AIエージェントの本には、作り方に加えて組織への導入や運用を扱うものが出ている。『LLM・AIエージェントシステムベストプラクティス』(翔泳社、2026年8月)、『AIエージェント導入を任されたら読む本』(日経BP、2026年9月)、『Claude Code 組織導入と運用の教科書』(リンケージ・パブリッシング、2026年8月)などである。逆に「LangChain」「OpenAI API」「プロンプトエンジニアリング」を含む本は減った(下の表)。
| 語 | 2025年1〜9月 | 2026年1〜9月 | 初出 |
|---|---|---|---|
| Claude Code | 0 | 29 | 2025年10月 |
| AIエージェント | 23 | 83 | 2025年1月 |
| MCP | 1 | 9 | 2025年8月 |
| NotebookLM | 4 | 24 | 2025年1月 |
| Claude Cowork | 0 | 9 | 2026年7月 |
| フィジカルAI | 1 | 9 | 2025年9月 |
| コンテキストエンジニアリング | 0 | 5 | 2026年2月 |
| LangChain | 6 | 2 | 2025年2月 |
| プロンプトエンジニアリング | 7 | 2 | 2025年3月 |
| OpenAI API | 6 | 0 | 2025年2月 |
IT系の本の書名・副題・シリーズ名・紹介文に現れた本の数。初出は2025年1月以降で最初に現れた発売月。
書名に入る生成AIの製品名では、Gemini(5点→44点)がChatGPT(30点→41点)を上回り、Claude(1点→31点)も増えた(IT系の本の書名・副題・シリーズ名)。
本の種類と翻訳書
書名に「実践」「運用」を掲げる本は、AI関連でだけ増えた
技術書の書名・副題・シリーズ名に含まれる語で、本の種類を分けた。1冊が複数に入ることがある。
| 書名の語 | AI関連(62点・124点) | AI関連以外(389点・384点) | ||
|---|---|---|---|---|
| 2025年 | 2026年 | 2025年 | 2026年 | |
| 入門・初心者向け | 27(43.5%) | 49(39.5%) | 116(29.8%) | 132(34.4%) |
| 実践・現場・実装・運用 | 11(17.7%) | 47(37.9%) | 76(19.5%) | 79(20.6%) |
| 理論・原理・仕組み | 5(8.1%) | 10(8.1%) | 35(9.0%) | 50(13.0%) |
| 教科書・テキスト・講義 | 5(8.1%) | 11(8.9%) | 30(7.7%) | 31(8.1%) |
| 図解・イラスト・マンガ | 0(0.0%) | 3(2.4%) | 16(4.1%) | 14(3.6%) |
| レシピ・逆引き・大全 | 2(3.2%) | 0(0.0%) | 12(3.1%) | 17(4.4%) |
| ドリル・演習・問題集 | 0(0.0%) | 0(0.0%) | 10(2.6%) | 10(2.6%) |
「実践」「現場」「実装」「運用」などを含む本は、AI関連の本で11点(17.7%)から47点(37.9%)に増えた(p=0.007)。AI関連以外の本では19.5%と20.6%で、変化がない。「入門」「はじめて」などを含む本は技術書全体で31.7%から35.6%で、差は偶然の範囲にとどまる。
翻訳書(著者欄に海外の著者名と日本語の訳者名が並ぶ本)は55点(12.2%)から64点(12.6%)で、割合は変わらなかった。約半数はオライリー・ジャパンの本である(28点・30点)。
出版社
PODのインプレスNextPublishingが、19点から48点に増えた
| 出版社 | 2025年1〜9月 | 2026年1〜9月 | うちAI関連 | p値 |
|---|---|---|---|---|
| 技術評論社 | 76 | 91 | 10→26 | 0.67 |
| 翔泳社 | 38 | 35 | 2→8 | 0.39 |
| インプレスNextPublishing | 19 | 48 | 2→18 | 0.001 |
| 日経BP | 33 | 34 | 6→15 | 0.71 |
| オライリー・ジャパン | 29 | 32 | 5→9 | 1.0 |
| インプレス | 24 | 31 | 8→8 | 0.68 |
| 近代科学社 | 20 | 16 | 2→0 | 0.31 |
| オーム社 | 22 | 11 | 7→3 | 0.032 |
| 共立出版 | 18 | 15 | 0→1 | 0.38 |
| 秀和システム・秀和システム新社 | 20 | 13 | 4→4 | 0.15 |
| マイナビ出版 | 12 | 17 | 3→6 | 0.58 |
| SBクリエイティブ | 12 | 15 | 1→3 | 0.85 |
| シーアンドアール研究所 | 11 | 11 | 0→3 | 0.83 |
| コロナ社 | 7 | 13 | 0→2 | 0.37 |
| 講談社 | 8 | 11 | 1→2 | 0.82 |
技術書の点数、両年合計の上位15社。日経BPは日本経済新聞出版などを含む。秀和システムは書誌上の出版社名が2025年に「秀和システム新社」へ変わっているので合算した。
点数が最も大きく変わったのは、注文ごとに印刷するプリントオンデマンド(POD)のインプレスNextPublishingである(p=0.001)。技術書に占める割合は4.2%から9.4%になった。増えた分の大半は「技術の泉シリーズ」(12点→42点)で、2026年の42点のうち19点がAI関連である。『Claude Code開発体系』(2026年2月)や『完全理解!MCPサーバー入門』(2026年3月)がある。PODの技術書の価格は中央値2,200円で、技術書全体より1,000円ほど安い。
2025年1〜9月には技術書が1点もなく、2026年1〜9月に3点以上を出した出版社はZEN大学出版会(8点)とリンケージ・パブリッシング(4点)である。ZEN大学出版会は『BSDカーネルの設計と実装 改訂2版』(2026年6月)や『Kotlinによる関数型プログラミング入門』(2026年7月)を出している。
上位5社が技術書に占める割合は44.3%から47.2%で、大きな変化はない。減った出版社ではオーム社(22点→11点、p=0.032)と秀和システム(20点→13点)が目立つ。
価格
技術書の価格の中央値は、3,080円から3,300円になった
| 対象 | 2025年1〜9月 | 2026年1〜9月 | p値 |
|---|---|---|---|
| 技術書全体451点・508点 | 3,080円 | 3,300円 | 0.079 |
| 技術書(AI関連以外)389点・384点 | 3,080円 | 3,300円 | 0.059 |
| 技術書(AI関連)62点・124点 | 3,300円 | 3,300円 | 0.83 |
| 技術書(翻訳書)55点・64点 | 3,960円 | 4,400円 | 0.075 |
| 技術書(POD以外)432点・460点 | 3,124円 | 3,300円 | 0.002 |
| 生成AI活用81点・179点 | 2,090円 | 2,200円 | 0.63 |
| PC・スマホ利用262点・224点 | 2,200円 | 2,200円 | 0.90 |
書誌の取得時(2026年10月10日)の楽天ブックスの販売価格(税込)の中央値。
技術書全体での差のp値は0.079で、これだけでははっきりしない。ただし、安価なPOD(大半が2,200円)が増えたことが差を小さく見せている。PODを除くと中央値は3,124円から3,300円で、p=0.002になる。4,000円以上の本は71点(15.7%)から104点(20.5%)に増えた。
AI関連の本の中央値は3,300円と3,300円で変わらず、上がったのはAI関連以外の本(3,080円→3,300円)である。翻訳書は3,960円から4,400円だった。2026年には275,000円の調査報告書のような高額な本が含まれるので、平均値は使っていない。
- 2,000円未満 8.2% 5.1%
- 2,000〜2,999円 35.5% 35.0%
- 3,000〜3,999円 40.6% 39.4%
- 4,000〜4,999円 12.6% 15.0%
- 5,000円以上 3.1% 5.5%
資格・試験
資格書では「情報I」が増え、高度試験とLPIC・CCNAが減った
| 試験 | 2025年1〜9月 | 2026年1〜9月 | p値 |
|---|---|---|---|
| 高校「情報I」・共通テスト | 24 | 42 | 0.12 |
| 情報処理の高度試験(支援士・スペシャリスト等) | 30 | 16 | 0.004 |
| ITパスポート | 10 | 11 | 0.82 |
| 基本情報技術者 | 6 | 8 | 1.0 |
| 応用情報技術者 | 4 | 3 | 0.71 |
| AWS・Azure・Google Cloud認定 | 10 | 9 | 0.64 |
| AI・データ系(G検定・生成AIパスポート・統計検定など) | 5 | 11 | 0.31 |
| Office・PC系(MOS・日商PC検定など) | 8 | 11 | 0.82 |
| LPIC・LinuC・CCNA | 6 | 1 | 0.049 |
| 資格・試験の本の全体 | 137 | 166 |
書名・副題・シリーズ名で試験を判定した。どれにも入らない本(CAD利用技術者、工事担任者、全商情報処理検定など)がある。
資格・試験の本は137点から166点に増えた。増えたのは高校「情報I」・共通テスト対策(24点→42点)である。減ったのは情報処理の高度試験(30点→16点、p=0.004)と、LPIC・LinuC・CCNA(6点→1点、p=0.049)だった。
高度試験の本の減少は7〜9月に集中している。2025年7〜9月には『2026年度版 ALL IN ONE パーフェクトマスター ネットワークスペシャリスト』(TAC出版、2025年8月)など13点が出たが、2026年7〜9月には0点だった。資格・試験の本全体でも7〜9月は49点から17点に減っている。翌年度版の発売が10月以降にずれた可能性もあるため、通年の点数がそろってから見直す必要がある。
技術書の外側
生成AI活用本が倍増し、Office製品の本はほぼ半減した
非エンジニア向けの生成AI活用本は81点から179点に増えた。PC・スマホ利用の本は262点から224点に減り、そのうち書名にExcel・Word・PowerPointなどOffice製品の名前を含む本は104点から56点になった(p<0.001)。
この減少には、2025年に改訂版が集中した反動が含まれる。PC利用の本のうち書名に「Office 2024」「Excel 2024」などを含む本は、2025年1〜9月の60点に対して2026年1〜9月は28点だった。2025年前半には『Excel 2024 やさしい教科書』(SBクリエイティブ、2025年1月)のような、Office 2024に合わせた改訂版が並んでいる。
Windows 10を書名・紹介文に含む本も9点から1点に減った。2025年には、同年10月のサポート終了に向けた『できるWindows 10 → 11 かんたん移行ガイド』(インプレス、2025年8月)のような移行案内が出ていた。
差が見られなかった観点
- 判型:技術書のほぼすべてが楽天の分類で「単行本」で、比べられなかった。
- 月別の季節性:両年に共通する山はなかった(図1)。
- 出版社の集中度:上位5社の割合は44.3%→47.2%で、出版社の数も65社→68社とほぼ同じだった。
- 翻訳書の割合:12.2%→12.6%。
- AI関連の本が他分野も扱う割合:AI関連の本のうち、AI以外の分野(Python、クラウド、設計など)も持つ本は64.5%→62.9%で、AIの本が他分野に広がったとは言えない。
- 「入門」「図解」「教科書」「レシピ」「ドリル」など、実践系以外の書名の語(表は本の種類)。
解釈
ここからは、上の数字に対する筆者の解釈である。
2026年の技術書の増加は、分野全体の拡大ではなく、AI関連の本の上乗せとして起きている。AI関連以外の技術書の点数は変わらず、Python・クラウド・セキュリティなどの定番分野も点数を保っている。出版社は既存分野の企画を減らしてAI関連に振り替えたというより、既存分野を維持したままAI関連を足したように見える。
上乗せされた本の一部はPODで出ている。PODのAI関連の本は2点から18点に増えており、AI関連の本の増加62点のうち16点に当たる。製品の更新が速い分野で、短い期間で出せる出版形態が使われている可能性がある。
価格の上昇はAI関連以外の本で起きており、AI関連の本の増加とは別の動きである。用紙代や印刷費の上昇が理由として考えられるが、このデータからは確かめられない。
調べ方の詳細
データ源と分類の手順
データ源
楽天ブックス書籍検索API(BooksBook)で書誌を集めた。対象は次の二つの和である。
- ジャンル「パソコン・システム開発」(booksGenreId 001005)の全サブジャンル(72ジャンル)を発売日の新しい順に取得し、2025年より前の本しか出てこなくなるまでページをたどった。APIは1検索あたり100ページ(3,000件)までしか返さないが、どのジャンルも上限に達する前に2024年以前に到達した。
- 楽天は技術書の一部を「ビジネス・経済」や「科学・技術」に分類している。たとえば『[みのるん式]ビジネスパーソンのためのClaude Code仕事術』(技術評論社、2026年9月)や『データマネジメント 仕組みづくりの教科書』(日経BP、2025年9月)は001005に入っていない。これを拾うため、IT系の書籍が多い出版社28社の刊行物を出版社名で同じ方法で取得し、書名にIT系の語を含む本だけを加えた。KADOKAWAと講談社は刊行点数が多く2025年1月まで遡れなかったので、出版社名での取得からは外した。
発売日は楽天のsalesDateを年月に直して使った。ISBNが9784で始まる本に限り、ISBNで重複を除いた。結果は3,659点(001005から2,805点、出版社名での取得から854点)である。2026年10〜12月の技術書は登録済みの予定分だけで130点(2025年10〜12月は165点)なので、比較には使っていない。
区分と分野
区分(6種)と分野(45個の固定リスト)は、LLM(Claude Sonnet)による判定と、書名・副題・シリーズ名に対するキーワード規則を併用した。LLMには書名・副題・出版社・判型・楽天のジャンル名・商品説明(先頭400字)を渡した。キーワード規則は書名に製品名や固有の術語が出る場合(「Claude Code」「MCP」「Rust」など)に限ってLLMの結果に足し、「設計」「データ」のような一般語で誤検出しやすい分野はLLMの判定だけを使った。判型が「ムックその他」の本と、雑誌名と号数を含む本は、LLMの判定にかかわらず雑誌・ムックにした。
LLMの判定は、本を無作為に並べ替えてから120冊ずつ区切って行った(発売日順に区切ると、2025年の本と2026年の本を別々のサブエージェントが受け持ち、判定の癖が年の差に混ざるため)。発売日順で区切った1回目の判定との一致率は区分で87.3%、主要な分野の一致度(Dice係数)は0.80〜0.97である。
このレポートで足した判定と、その確認
- 本の種類:書名・副題・シリーズ名に含まれる語で判定した(表の行名の語)。「実践」系の語に当たった本から25冊を抜いて確かめたところ、22冊はその語が本の性格を表していた(「BSDカーネルの設計と実装」の「実装」のように、性格を表さない例がある)。
- 翻訳書:著者欄に欧文の人名またはカタカナの中黒入りの人名と、漢字の名前が並ぶ本とした。1〜9月の技術書で当たった119点を全件確かめ、117点が翻訳書だった。著者欄にカタカナだけで書かれた翻訳書は拾えないので、点数はやや少なめに出ている。
- 出版社:表記ゆれ(オライリー・ジャパン、日経BPの各社名)をまとめ、秀和システムと秀和システム新社を合算した。PODはインプレスNextPublishingの本とした。
- 価格:楽天の書誌のitemPrice(取得時の税込販売価格)を使った。発売後の改定は反映されない。
- 試験:資格・試験の区分の本を、書名・副題・シリーズ名の試験名で分けた。高度試験とLPIC・CCNAに当たった本は全件確かめ、誤りはなかった。
- 製品名・技術名:書名・副題・シリーズ名・商品説明に対する正規表現の照合で、本の数を数えた。紹介文で一度触れただけの本も数に入る。
- AI関連:LLM・生成AI、AIエージェント、MCP、RAG、AIコーディング支援のいずれかの分野を持つ本とした。
限界
- 楽天ブックスに登録された書誌だけを見ている。同人誌や技術書典の頒布物、電子書籍だけの本は入らない。出版社名での補完も28社に限られる。
- 区分と分野はLLMの判定に依存する。特に「技術書」と「生成AI活用」の境界は判断の余地が大きい。無作為に抜いた50冊の目視確認では、区分は47冊(94%)、分野は41個中38個(93%)が妥当だった。
- 同じ本の通常版とPOD版が別ISBNで載っていることがある(題名がほぼ同じ組は5組)。点数への影響は小さいので除いていない。
データについて
書誌は楽天ブックス書籍検索API(楽天ウェブサービス)で2026年10月10日に取得しました。発売予定の本は取得時点の予約登録にもとづくため、発売日・書名が変わることがあります。 このページには集計値と、本文で挙げた本の書名・出版社・発売年月だけを載せ、楽天の商品説明や書誌の一覧は載せていません。
本文の書名は、技術書ナビでZenn・Qiitaなどの紹介記事を集めている本だけ書籍ページへリンクしています。技術書ナビの本体のランキング(記事での言及数)とは別の集計です。